大学における学生とシニアの対話実施概要

−福井大学−

  松永一郎

1.実施主旨

 今春日本原子力学会春の年会で実施した「学生とシニアの対話(学生のキャリアデザイン&夢支援)」のフォローアップ。日本原子力学会の学生連絡会の活動の一端として、原子力系理系学生および教育学部系学生との交流を図る。

 

2.対話の目的

 原子力系理系学生および教育学部系学生とシニアとの対話を通して、学生とシニアの相互理解を図ると共に、今後の原子力、エネルギー産業について共に考え、これからの対話のあり方やエネルギー教育の実践あり方の参考にする。

 なお、福井大学はエネルギー環境教育センターのエネルギー教育に係る「地域拠点大学」の指定を受け、02〜04年の3年間「エネルギーに関する教育・啓発・広報ネットワーク構築のための研究」を福井地区を中心にして実施している。

 

3.福井大学における対話の実施

(1)日時 12月2日(金) 14:00〜17:30   

(2)参加

 @学生   22名(M2:6, M1:9, B4:7

     専攻:原子力・エネルギー安全工学(M:11名)

     工学部(B4:3名 原・エネ安全工学進学予定) 

            教育学部系(B4:4名、M:3名) 

学生連絡会:1名(京大M2)

 Aシニア  

  エネルギー問題に発言する会会員5名

荒井利治、伊藤睦、竹内哲夫、山崎吉秀、松永一郎

 Bコーディネーター  天野治氏(電中研、日本原子力学会)

  他にオブザーバーとして福井大学助教授の福元謙一、玉川洋一、金邉 忠先生

(3)実施内容 

  @総合講演 

・豊かな石油時代去る。そのあとをどうするの。          竹内氏

・メーカー経験のシニアとして今後の若手に望む道         荒井氏

A対話

 5グループに分かれ、シニア1名に対して、学生が4〜5名ずつついて対話。

 対話の題材は学生に対する事前アンケートの結果から、各グループの学生リーダーが決めた。

対話終了後に各グループから対話内容のまとめと説明がなされた。 

 

(4)結果

  参加シニアから感想を収集、学生には事後アンケートを実施

(シニアの感想概要)

@     学生の構成が原子力・エネルギー安全工学と教育学部関係が丁度半々であったが、原子力に関する理解度が高く、また事前準備もよく行き届いており、好感が持てた。また先生方のエネルギー、原子力教育に対する熱意が高いのと初めての原・エネ卒業生が社会にどう受け入れられるのか危惧を持たれているのを感じた。

A     シニア一人に対して数名の学生との対話は質疑の的が絞られ、対話しやすいメリットがある。学生は皆就職も決まっており、落ち着いた雰囲気で対話できたが、これからの原子力関係の仕事に対する社会の目や自分たちの役割に対しての不安が感じられた。このような対話が彼らの不安感を和らげ、これからの仕事に対する自信に繋がれば対話会は成功といえる。

B     日本における原子力の小中高における教育が欠落しているために、周囲から原子力専攻、就職メンバーが白眼視されている。しかし正論でも周囲に遠慮して発言しないというのが日本人の特性という議論になり結果として「日本人はオカシイ」という結語になった。なお、議論を深めるには対話の時間が少ない。懇親会で人生に対する真摯な気持ちがあることを知ったが、総じて自分の学生時代よりおとなしい。

C     武蔵工大のときと比べて学生の原子力に対する理解が深く、親派というのが第一印象である。いきなり日本でも原子力比率をフランス並の70%にできないか、またそのようにした場合のリスクの問題になり驚かされた。これは福井という原子力県であるためと考えられ、また原子力を支えてくれる人材が間違いなく育ってくれることを強く予感した。

D     対話に参加した学生がエネルギー・安全工学とエネルギー環境学習研究会に属している教育学部の学生で、皆エネルギー・原子力教育に理解が深いとの印象である。また福井県は原子力立地県なので原子力教育も他のところより受けているようで、放射線に対する恐れや原子力に対する反対も「原子力の必要性が高まれば自然に沈静化する」という冷静な見方をする者もおり、感心させられた。なお、学生が遠慮をしてなかなか自分の意見が言えないという者もおり、対話の進め方に一考を要すると感じた。

 

(学生アンケート結果概要)

事前アンケート 19名回答     

@     エネルギー問題に関心があるか

 非常にある:32%   ややある:68%  あまりない、まったくない:0

A     将来の日本の一次エネルギーは何か

水力、原子力:各34%     火力、太陽光:各10%  バイオマス:3%  その他:7%

B     原子力の必要性

必要:95%  不要:5%

C     原子力について学んだことはあるか

ある:56%  少しある(一般常識程度):39%  殆どない:5%

 

事後アンケート  20名回答   

@     対話の必要性

非常にある:35%   ややある:45%   あまりない:20%

A     エネルギー危機に対する認識の変化

大いに変化:10%  多少変化:50%  あまり変化せず:25%   全く変化せず:15%

(変化しなかった理由→もともとある程度知っていた)

B     原子力に対するイメージの変化

大いに変化:20%  多少変化:20%  あまり変化せず:50%  全く変化なし:10%

(変化しなかった理由→もともと持っていたイメージどおりであった)

C     対話の内容

とても満足:35%   ある程度満足:20%  やや不満:45%  大いに不満:0

(満足した理由→face to faceでエネルギー、原子力のみならず色々なことを聞けた)

(不満の理由→時間が短く、議論が中途半端で消化不良。グループごとに別の話で統一性がない他)

D     その他感想(傾聴すべきもの)

 ・テーマを事前に決めておいて、簡単にシニアの説明後に質疑応答する形にすると、まとまりのある対話になるのではないか。ただし、自由度は減る。

 ・原子力専攻の学生からすると、もう少し議論を深めたい。一般の人に対する理解を求める対話とは違うと考える。参加者の構成によって内容を変えた方が良い。原子力の現場にいたからこそできる話を聞ける場にできたらよい。

 

4.今後の対応

昨年7月にスタートした一般学生とシニアの対話は半年間で、武蔵工大、東工大、八戸工大そして今回の福井大学と4回を数えた。対話の方式も学生連絡会によってマニュアル化され、事前準備、対話、事後対応と手順がスムーズになった。そのため1ヶ月あまりの準備期間で実施にこぎつけることができた。ただ、学生のエンジニアとして将来原子力を専攻する、あるいは教師として将来エネルギー問題を本格的に小中高校生に教えて行きたいというプロ意識が今までの3大学に比べてかなり高いためか、対話そのものへの満足度が足りなかったという結果が出た。今後はこの点の改良が必要である。                                                

なお、原子力学会内に「学生と先輩の対話ネットワーク」を作り、これを足がかりとしてシステム的に対話をする構想の実現は未了。当面従来どおり、ボランティア形式で実施。                                             

次回:2006年3月11日(土) 午後   於いて近畿大学

    学生・・京大、阪大、近大の3大学合同

 対話主旨・・@学生とシニアの相互理解

       A学生間の交流、仲間意識の醸成

       B学生の進路/キャリアデザインを考えて4月からの就職活動に備える

(学生連絡会では、以上のPRを月刊エネルギーおよび原子力学会誌の1月号に掲載し学生を募集する。)

 

5.対話写真

天野 治 総合コーディネーターの挨拶

 

竹内哲夫氏の講演


荒井利治氏の講演

 

学生とシニアの対話風景


山崎吉秀氏の講評

 

懇親会風景



 

大学における学生とシニアの対話(詳細)

福井大学

 

さる12月2日(金)、福井市の福井大学文京キャンパスにおいて、同校の原子力・エネルギー安全工学専攻の修士課程の学生11名と、同専攻に進学予定の工学部学生3名及び教育学部系の修士課程の学生3名と学部学生4名の合計22名の学生とエネルギー問題に発言する会のシニア会員5名との「学生とシニアの対話」が実施された。

またコーディネーターは日本原子力学会企画委員の天野治氏(電力中央研究所)が努めた。

以下にその内容を示す。

 

1.実施主旨

 本年3月の日本原子力学会春の年会において、同学会とエネルギー問題に発言する会が共催で「学生とシニアの対話(学生のキャリアデザイン&夢支援)」セッションを企画した。この企画は日頃我が国のエネルギー問題、特に原子力問題に関して危機感を抱いているシニア世代と、これから社会に出て、将来地球規模で現実化する厳しい環境・エネルギー問題に直接対峙し、日本および世界のために諸問題を解決していってもらわねばならない原子力を専攻する学生とが初めて同じ土俵に上がり、さまざまなテーマについて話し合うという画期的なものであった。

 テーマは将来の資源状況、ものづくりなどの技術力の維持と伝承、学生のキャリアデザイン構築などに関することであり、このような「学生とシニアの対話」がさまざまな情報交換の場所として期待され、学生連絡会の活性化に繋がっていくという感触が得られた。

 セッション終了後、参加シニア及び天野治氏と今後の対応を話し合った結果、以下のことが合意された。

(1)   このような対話は単発ではなく恒常的に進めていく必要がある。

(2)   セッションに参加した学生は意識の高い、言わば原子力エリートであるが、もっと一般の学生にもこのような場を提供し、学生たちが学生連絡会の輪をひろげその足場を強化していくことを支援していく必要がある。

(3)   最終的には学生たちが学生連絡会を中心として、我が国/世界の原子力の発展のためにアイデアを出し合い、自ら企画立案実行していけるようになれば理想的である。

そしてそれを学会、原子力産業界、官界等で支援する体制作りにつなげていく。

2.今回の対話の目的

 今年の7月13日、8月1日にそれぞれ武蔵工業大学、東京工業大学の原子力系の学生とシニアの対話を実施した。また9月14日には秋の原子力学会に参加したのを契機に、八戸工大において非原子力系の学生とシニアの対話を実施した。

今回の学生は工学部系学生も教育学部系学生は今までの3大学より一段と原子力・エネルギー教育に関して活発に活動している大学という点で異なっており、今までとは違った反応に期待が持てるものであった。

福井県は15基の原子力発電所を有する原子力立地県で研究施設も多く、エネルギー教育にはことのほか熱心で日本のエネルギーのモデル県としての役割を果たそうとしている。    

福井大学では2002年から教育地域科学部と工学部を横断する組織として「エネルギー環境教育研究会」を設置し、大学教官、院生、民間企業研究者、小学校教員等のメンバーでエネルギー教育の研究を行うとともに、エネルギー環境教育センターのエネルギー教育に係る「地域拠点大学」の指定を受け、02〜04年の3年間「エネルギーに関する教育・啓発・広報ネットワーク構築のための研究」を福井県内で実施している。

 

3.福井大学における対話の実施

 福井大学は工学部系、教育学部系、医学部系の3部門からなる独立行政法人で学生数は全部で約5、000人(内工学部系は3、200人、教育学部系は800人)で、工学部は地方圏では有数の大きさである。特筆すべきなのは2004年に大学院だけの「原子力・エネルギー安全工学専攻」を設けたことで、原子力の名前を冠した学部が大学から次々と消え、残りがわずかになった時に新設されるのは久しぶりのことである。

 今回の対話は日本原子力学会学生連絡会が主体となって企画立案し、それに福井大学が企画実施者として全面的に協力した。さらにエネルギー問題に発言する会及び原子力学会がサポートする形で実施した。

(1)参加者

@     学生

学部4年生−7名、修士課程1年−9名、修士課程2年−6名(内1名は学生連絡会)。

A     シニア

エネルギー問題に発言する会の運営委員で、武蔵工大、東工大の対話経験者で構成した。

(名簿順) 

荒井 利治(元日立製作所、元JNF)

伊藤 睦(元東芝、元東芝プラント建設)

竹内 哲夫(東電、元日本原燃、前原子力委員)

松永 一郎(元住友金属鉱山)

山崎 吉秀(電源開発、元関電)

B     コーディネーター、オブザーバー

コーディネーターとして天野 治氏(電中研、日本原子力学会企画員)が参加した。

 

(2)事前調査

 対話に先立ち、参加の意向のある学生に対して学生連絡会が準備した事前アンケートを実施した。

 

事前アンケート結果 19名回答     

@     エネルギー問題に関心があるか

非常にある:32%   ややある:68%  あまりない、まったくない:0

A     将来の日本の一次エネルギーは何か

水力、原子力:各34%     火力、太陽光:各10%  バイオマス:3%  その他:7%

B     原子力の必要性

必要:95%  不要:5%

C     原子力について学んだことはあるか

ある:56%  少しある(一般常識程度):39%  殆どない:5%

 

(3)対話

 対話は「総合講演」と「学生とシニアの対話」の2部構成とした。

@総合講演

  講演内容の概略は次のとおり

 

a.豊かな石油時代去る。そのあとをどうするの。・・・竹内哲夫氏

(概要)

現代文明は安くて大量の化石燃料をエネルギー源としてふんだんに使うことから成り立っているが、これはこの150年ぐらいのことである。中でも使い勝手のよい石油の多量消費は高々50年間のできごとである。しかも早くもそのピークが見えてきた。石油に代わるエネルギーがなければこの文明の維持発展は不可能である。それに代わる次世代のエネルギー源としては原子力しかない。これからその仕事に従事していく若者への期待は大きい。

  オイルピークを迎えた後、エネルギーを支えるのは原子力しかない。特に高速増殖炉は絶対的な切り札。資源小国の日本は、高速増殖炉とそのサイクル路線を国策として推進することを早期に決断する必要がある。そしてそのためには国民の応援が必要である。いままでエネルギー・原子力教育が貧困だったために原子力推進に対する国民のコンセンサスは不十分である。これからは原子力・放射線に対する教育をもっともっと工夫して実施し、国民の同意を得やすいようにしていかなければならない。

 

b.メーカー経験のシニアとして今後の若手に望む道・・・・荒井利治氏

(概要)

   日立製作所はモノ作りの会社であり、技術を重視する現場主義の会社である。そしてそこには、物づくりを支えてきた「くさいものに蓋をするな」「失敗を素直に認めよ」「必ず試作を行え」等の基本的な教えがある。日本は狭い国土に1億2千万人の国民がいて、世界第2の経済大国であるが、資源は人しかない。これらの人が工夫して物づくりに励み、それを世界中に売り、日本をこれまでにしてきた。皆さんはそれをよく理解し、日本の立場を努力と実力でさらに高めていって欲しい。それには、現場主義に立ち、本質を見抜き、違った発想をもち、現状におぼれずに未来を見つめ、はばたいて行ってほしい。

A学生とシニアの対話

  シニアを1名ずつ5グループに分け、それぞれの組に大学院生を混在して対話をおこなった。各組では自己紹介のあと、それぞれのグループでテーマを選び、フリーディスカッションをおこなった。対話終了後にグループ別にまとめ、最後に学生が簡単な発表をした。

 Bシニア代表の感想(山崎吉秀氏)

  皆さんもお分かりかと思うが、日本の基盤となっているのはモノ作りである。原子力も例外ではなく、そのモノ作りの伝統である現場主義が大切である。原子力発電の安全な運転も、現場での地道で日常的なことを大切にすることで保たれる。

  放射線がどうして受け入れられないかということに対しては、やはり教育が大切である。その教育にはここにおられる君たちのような若い人が発信していくのが効果があるだろう。

  若い人のキャリアデザインについては広く深くする必要がある。率直な意見として、学生時代の知識は役に立たない。柔軟性、体力、やる気が皆さんの将来を決める。今回私の対話の題材は電源のベストミックスについてであったが、皆さんのやる気に圧倒される思いであった。

 

4.対話結果・・感想の収集及び事後アンケートの実施

 対話終了後、参加したシニアに感想を求めた。また学生サイドでは独自の事後アンケート調査を行っている。

(1)シニアの感想

 シニア5名の感想を別添1に示す。

 内容の概要は以下のとおり。

 @学生の構成が原子力・エネルギー安全工学と教育学部関係が丁度半々であったが、原子力に関する理解度が高く、また事前準備もよく行き届いており、好感が持てた。また先生方のエネルギー、原子力教育に対する熱意が高いのと初めての原・エネ卒業生が社会にどう受け入れられるのか危惧を持たれているのを感じた。

Aシニア一人に対して数名の学生との対話は質疑の的が絞られ、対話しやすいメリットがある。学生は皆就職も決まっており、落ち着いた雰囲気で対話できたが、これからの原子力関係の仕事に対する社会の目や自分たちの役割に対しての不安が感じられた。このような対話が彼らの不安感を和らげ、これからの仕事に対する自信に繋がれば対話会は成功といえる。

B日本における原子力の小中高における教育が欠落しているために、周囲から原子力専攻、就職メンバーが白眼視されている。しかし正論でも周囲に遠慮して発言しないというのが日本人の特性という議論になり結果として「日本人はオカシイ」という結語になった。なお、議論を深めるには対話の時間が少ない。懇親会で人生に対する真摯な気持ちがあることを知ったが、総じて自分の学生時代よりおとなしい。

C武蔵工大のときと比べて学生の原子力に対する理解が深く、親派というのが第一印象である。いきなり日本でも原子力比率をフランス並の70%にできないか、またそのようにした場合のリスクの問題になり驚かされた。これは福井という原子力県であるためと考えられ、また原子力を支えてくれる人材が間違いなく育ってくれることを強く予感した。

D対話に参加した学生がエネルギー・安全工学とエネルギー環境学習研究会に属している教育学部の学生で、皆エネルギー・原子力教育に理解が深いとの印象である。また福井県は原子力立地県なので原子力教育も他のところより受けているようで、放射線に対する恐れや原子力に対する反対も「原子力の必要性が高まれば自然に沈静化する」という冷静な見方をする者もおり、感心させられた。なお、学生が遠慮をしてなかなか自分の意見が言えないという者もおり、対話の進め方に一考を要すると感じた。

 

(2)学生への事後アンケート結果

 アンケートは対話終了後に予め用意してあった質問用紙を配布して行った。

 結果を別添2に示す。

(学生事後アンケート結果概要) 

@対話の必要性

非常にある:35%   ややある:45%   あまりない:20%

Aエネルギー危機に対する認識の変化

 大いに変化:10%  多少変化:50%  あまり変化せず:25%   全く変化せず:15%

(変化しなかった理由→もともとある程度知っていた)

B原子力に対するイメージの変化

 大いに変化:20%  多少変化:20%  あまり変化せず:50%  全く変化なし:10%

(変化しなかった理由→もともと持っていたイメージどおりであった)

C対話の内容

 とても満足:35%   ある程度満足:20%  やや不満:45%  大いに不満:0

(満足した理由→face to faceでエネルギー、原子力のみならず色々なことを聞けた)

(不満の理由→時間が短く、議論が中途半端で消化不良。グループごとに別の話で統一性がない他)

Dその他感想(傾聴すべきもの)

 ・テーマを事前に決めておいて、簡単にシニアの説明後に質疑応答する形にすると、まとまりのある対話になるのではないか。ただし、自由度は減る。

 ・原子力専攻の学生からすると、もう少し議論を深めたい。一般の人に対する理解を求める対話とは違うと考える。参加者の構成によって内容を変えた方が良い。原子力の現場にいたからこそできる話を聞ける場にできたらよい。

 

5.今後の対応

昨年7月にスタートした一般学生とシニアの対話は半年間で、武蔵工大、東工大、八戸工大そして今回の福井大学と4回を数えた。対話の方式も学生連絡会によってマニュアル化され、事前準備、対話、事後対応と手順がスムーズになった。そのため1ヶ月あまりの準備期間で実施にこぎつけることができた。ただ、学生のエンジニアとして将来原子力を専攻する、あるいは教師として将来エネルギー問題を本格的に小中高校生に教えて行きたいというプロ意識が今までの3大学に比べてかなり高いためか、対話そのものへの満足度が足りなかったという結果が出た。今後はこの点の改良が必要である。                                                

なお、原子力学会内に「学生と先輩の対話ネットワーク」を作り、これを足がかりとしてシステム的に対話をする構想の実現は未了。当面従来どおり、ボランティア形式で実施。                                              

次回:2006年3月11日(土) 午後   於いて近畿大学

    学生・・京大、阪大、近大の3大学合同

対話主旨・・@学生とシニアの相互理解 

          A学生間の交流、仲間意識の醸成

           B学生の進路/キャリアデザインを考えて4月からの就職活動に備える

 (学生連絡会では、以上のPRを月刊エネルギーおよび原子力学会誌の1月号に掲載し学生を募集する。)

 



別添1 シニアの感想

天野治(参考)
「学生・先生方の反応」
川岸さんもサークルなどに参加している教育学部の友人が数多く参加いただき、半数が教育学部であった。 荒井さんのチームにくわわり、「学生のうちに何をすべきか」を対話した。熱意をもつこと。精神的に鍛えて、うつ病を防止すること。荒井さんのT字理論(T定規のように、自分の専門をもち、またそれぞれの専門に共通する知識、素養をもつ)は学生に受けていた。

 

荒井利治

 1.これまでの大学との違いは学生の構成が21名中過半数の11名が原・エネ安全工学の学生であり原子力についての知識や理解度が高かったこと。また教育地域科学部及び教育科学研究科といった教育関係の学生が6名も参加した事である。

 

2.これらの学生がこの対話の会の意図するところをよく理解していて、学生連絡会の川岸さんが指導力を発揮され、統制が取れていて、万事スムースに進行したことは特筆に価する。

 

3.対話の会及び懇親会でお目にかかった先生方との会話を通して、先生方のエネルギー・原子力教育に対する取り組み姿勢の強さと其の一方で始めての卒業生が社会にどう受け入れられるかの危惧をもたれている事を感じた。

 

4.教育関係の学部の生徒との対話は始めてであったが、真面目にかつ知的に問題を考えていることを知り好感が持てた。

しかし懇親の席で、福井では先生の就職倍率は十数倍で狭き門であり、これに比べ東京、大阪など大都市では、学級崩壊の為先生のなり手がすくなく倍率は2倍ぐらいと聞き、ショックであった。

 

以上これまでの経験もものを言って、今回の対話は内容がよかったと思う。                         

 

伊藤睦

1)全体として準備が行き届いており充実した会であった。準備された川岸さんはじめ関係された皆さんにお礼を申し上げます。

2)竹内さん、荒井さんの講演は迫力があり、学生さんも先生も真剣に話を聞いており、かなり強烈な印象を受けたと思われる。

3)シニア一人と学生さん数名の対話は、個人的に偏ってしまう欠点もあるが、質疑の的が絞られ、対話し易いメリットがあり、(東工大での複数対複数の対話に比べて)良かったと思う。

4)グループの学生さんは既に就職先が決まっているので、先行きには余裕が感じられたが、むしろ、これからの自分達の仕事(原子力)が社会から冷たく見られないか、それに対して自分達はどの様な役目を果たせば良いのかといった心配不安が有るようだ。このような心配・不安に応え、学生さん達がこれからに仕事に自信が持てる様になることに少しでも役に立てれば、今回の対話会は成功と言えよう。

5)懇親会に多くの先生が参加され先生とじっくり対話出来たことも有意義であったと思う。

6)なお今回の運営では、以下2点を実施し方がより効果的であったと思う。

(1)自己紹介を兼ねて、各シニアに5〜6分程度のスピーチの場を作ること。

  (グループではこれをやった。) 

(2)各学生さんあるいは参加の先生にも各自あるいは選抜して2〜3分のスピーチの機会を与えること。

 

このような対話会を継続していくためには、学生あるいは先生の方(大学側)から主体的にどんどん要望が出され、シニア側はそれにできるだけボランテアで応じると言うパターンが定まると良いと思う。                                      

 

竹内哲夫

石油ピークの私の紹介に続いて我が班は座について話したことと、これまでの学校とのメンバーと違い半数が教育専攻だったため、一味違う議論が深められた。
@原子力の小中高教育が全く欠落しているため、周囲から原子力専攻、就職のメンバーが白眼視されている点についてはこれまで同様。
Aだが、教育だけでなく日本人は特異な縄張り意識がある、正論と思ってもいわない、周囲におもんばかって発言をしない。といったような民族の特異性の議論が深くなり、結果して「日本人はオカシイ」という結語になった。

(竹内感想:コメントにあらずに)
構成メンバーからやや大人っぽい議論に終始したが、やはり初対面で、あの短時間では無理がある。後でパーティー、二次会などで、私がもっている人生哲学は、どんな読書で得ているか、真剣に聞いてきた点は、これまでにない大人の対話だった。
この世代の若者(私と50歳違う)に新しい日本を今様に悩んで担ぐ意欲みたいなものを感じた。
ただ、私達の時代にはこんな事を感じたら、直ちに学生運動、若者は立ち上がっていたと言ったら、これには皆仰天(奇想天外)の目をしていた。日本人はキバのないおとなしい民族になったと思う。

山崎吉秀

先だっての武蔵工大と異なって、総じて学生が原子力に対して親派であるというのが第一印象である。
これは福井が歴史的に原子力県であって、良しきにつけ悪しきにつけ、何かと原子力に関わる話題が多い中で育っていること。しかもこのたび大学院に新設された原子力専攻を志している学生であるから当然、といえることかもしれない。
グループ討論でも、いきなり電力の日負荷曲線を持ち出してして、これを討議したいと言われた時には嬉しいやら感激するやらでした。そして、フランスのように、何故日本は原子力比率を70%くらいにもってこれないか。逆に比率を高くした場合、リスクはどうかといった質問が学生たちから飛び出してくるのにも驚かされた。
いずれにしても、原子力を支えてくれる人材が福井には間違いなく育ってくれるであろうことを強く予感した次第である。

松永一郎

1.対話に参加した学生は教育系と原子力エネルギー安全工学系半々であったが、教育系の学生も「エネルギー環境学習研究会」のメンバーでありそれだけにエネルギー・教育に対して理解の深いとの印象がある。

 

2.また、福井県は関西地区の原子力立地県なので、中学でも原子力についてもごくわずかであるが、一応の教育を受けているとのことで今までの学生とは違うという感じである。

 

3.ただ、たまたま題材が「放射線について、社会に受け入れられるにはどうしたらよいか」といことについて、JCO事故を例に出したところ、一部の学生があまり事故について知らないのに驚いた。考えてみると事故から6年で、彼らはまだ中学生でしかも福井から離れた関東での出来事ということが関係していたためなのか。

 ともあれ、皆知っていて当たり前という前提で対話をしてはいけないと反省させられた。

 

4.原子力エネルギー専攻の学生は大学院に進む時に原子力を選択して進んでいる。それだけに、エネルギー将来的には原子力しかないとある程度認識しており、放射線に対する恐れや、原子力に対する反対も「原子力の必要性が高まれば自然に沈静化する」という冷静な見方をしているのには感心させられた。

 

5.対話の時間が短くまたシニアが熱心に話しをするので学生が遠慮をしてなかなか自分の意見がいえないとのアンケート結果がでている。これは自分自身の反省点でもあり、今後の対話の進め方に一考を要するところである。「対話とは90%までは相手の話を聞く」というくらいの意識でよいと聞いたことがある。

 



別添2 学生への事後アンケート結果

(1)

シニアと学生の対話の必要性についてどのように感じますか?その理由は?

 

 

 

 

 

7

非常にある

 

・大学の授業、研究ではどうしても実際に運用している方の考え方について

知る機会が乏しい

 

 

 

 

・世代間の問題意識の共有。学生の不安や疑問の解消が、自分の選択し

た道へ自信につながる

 

 

 

 

・大学のような第3者的な意見ではなく、今まで実際に働いてこられた方と

対話することで普段と違った意見を取り入れて視野を広くするいい機会と

思いました

 

 

 

 

・長年、それぞれの専門分野で経験を積んでこられた方々の話は、このような

機会がないと聞くことができないので学生には非常に有意義だと思う。

自分と専門分野が違ったとしても、トップに立つ人の考え方、意見を聞くことは

大変参考になる。また、今回自分がそうだったが、原子力・電力に関する疑問を

質問することができ、またそれに対するシニアの方の意見を聞けたのは非常に良かった

 

 

 

 

・学生同士の交流だけでは得ることのできない経験豊富なシニアの方のさまざまな

知識を得ることができ、また、企業が学生に何を求めているかがとても伝わったから。

 

 

 

 

・シニアの行ってきたことを知り、今後に活かせる知識を得られるから。

 

 

 

 

 

 

・いろいろな話が聞けるから